リリース発行企業:関西外国語大学
アントワープ大学(ベルギー)政治学部のトム・サウアー教授が7月2日、関西外国語大学(大阪府枚方市)で開かれたセミナーで、「ウクライナ戦争:レアルポリティークの視点から」をテーマに講演しました。サウアー教授は「4年余りが経過したウクライナ戦争を終結させるための第一歩は、ロシアのプーチン大統領との直接対話を再開させることだ」などとの見解を示しました。

▲ウクライナ戦争をレアルポリティークの視点から鋭く切り込むサウアー教授
サウアー教授は、国際政治学、国際安全保障、核軍縮などが専門分野で、「レアルポリティーク(現実主義政治)の視点から国際政治を分析する論客です。北朝鮮やイランの核開発、欧州の安全保障など、現在の世界が直面する課題について鋭い分析による持論を展開しています。
サウアー教授は最初に、ウクライナ戦争の背景をテーマにしました。「ロシアが自国とNATOとの間の緩衝国と位置付けてきたウクライナが、東方へ勢力を拡大してきたNATOに加盟することは、ロシアにとって生存を脅かす許容できない一線だった」との見方を示しました。「ロシアがウクライナに侵攻した背景には、領土拡大の野心ではなく、自国の安全保障への危機感があった」と説明しました。

▲終結の第一歩は露大統領との直接対話の再開と持論を述べました
また、戦争終結への第一歩としてプーチン大統領との直接対話の再開を挙げました。「敵対国の指導者を排除するのではなく、その国の利益を理解しながら冷静な外交を進めることが重要であり、西側諸国が対話を拒否し続けていることが戦争を長引かせている」との見解を示しました。
さらに、持続可能な平和を築くために、ウクライナの「非NATO化」が絶対条件だと述べました。「ウクライナがNATOに加盟することはロシアにとって受け入れられない一線であり、これを推し進めようとすれば戦争が確実に長引く」と述べました。
加えて、ロシアとウクライナの双方を含めた「集団安全保障」を構築することも必要だと提案しました。「NATOのような外部の敵を想定した軍事同盟ではなく、加盟国同士が互いに攻撃しないことを保証する仕組みこそが、地域の持続的な安全をもたらす」と主張しました。

▲参加者からの質問に一つ一つ丁寧に回答していました
講演後の質疑応答では、参加者からは、「ウクライナ戦争は事実上、アメリカとロシアの代理戦争に発展しているのではないか」「ウクライナを中立化させたり、朝鮮半島のように国土を分断させたりするアプローチは、現実的な解決策となるのか」といった質問が寄せられました。また、「2022年の開戦以降、最も歴史的な転換点はどこだったと考えるか」との質問もあり、サウアー教授は一つ一つ丁寧に回答していました。
