大阪ガス株式会社(代表取締役社長CEO:藤原 正隆、以下「大阪ガス」)は、このたび、 コモディティートレーディング企業であるOffset8 Holding Limited (UAE、共同創業者・取締役:Jules Thierry Michel Maitrepierre 、以下「Offset8社」)、及び気候テック企業であるSAWA EcoSolutions Pte Ltd(インドネシア、以下「SAWA社」)が推進する、間断かんがい技術(Alternate Wetting and Drying、以下「AWD」)を活用したインドネシアでの水田由来メタン排出削減プロジェクト(以下「本プロジェクト」)において、生物多様性評価技術(以下「本技術」)を提供する契約をOffset8社と締結しました。
本技術は、生物の微量な遺伝子情報(環境DNA(※1))を分析することで、生態系や生物多様性への影響を可視化・評価するもので、AWDによるメタン排出削減に加え、生物多様性に関する価値も付加したクレジットの創出が可能となります。
大阪ガスは、プロジェクト組成のサポートをするとともに、二国間クレジット制度(※2)(以下「JCM」)を通じて、本プロジェクトで創出が見込まれるクレジットの一部を購入予定です。なお、インドネシアにおいて本技術を適用したJCMクレジットの創出は初めてです。
農業分野におけるJCM方法論の一つであるAWDは、水稲の栽培期間中に水田の水を一定期間抜いて土壌を乾燥させた後、再び水を張ることを繰り返すことで、水田由来のメタン排出量を削減する手法です。常時水を張った状態の水田と比較してメタンの排出量を約30%削減できると言われています(※3)。インドネシアは世界有数の米の生産地帯であり、水田由来のメタン排出削減は農業分野の脱炭素化における重要な取り組みの一つです。
一方、AWDを通じて水田環境が変わることで、水田の生態系に影響を及ぼすといった懸念が挙げられています。AWDを広く普及させるためには、生物多様性への影響を可視化及び配慮することが重要です。大阪ガスは、国内外の水田を対象として、AWDによるメタン排出削減と生物多様性への影響を評価する取り組みを進め、その価値を付加したクレジット創出に貢献してきました(※4)。
本プロジェクトでは、SAWA社と、1973年に設立され50年以上の活動実績を有する、全国規模の農業団体である Himpunan Kerukunan Tani Indonesia(ヒンプナン・クルクナン・タニ・インドネシア、以下「HKTI」)が連携し、インドネシア38州に広がる HKTIのネットワークを活用してAWDを導入する農家・農地の開拓および導入支援を行います。Offset8社は本プロジェクトへの投資およびファイナンス支援を行います。
大阪ガスは、本技術を水田に生息する生物相の変化等を分析・可視化するサービスとして提供します。AWD実施前後の水田の水中に存在する、トンボやカエルといった生物の環境DNAを分析、比較することで、生態系情報や生物多様性への影響を評価でき、保全活動の優先順位づけや環境施策の効果検証に繋げることが可能です。これまで大阪ガスが他プロジェクト※4で培ってきた、水田におけるメタン削減効果と生物多様性保全の両立に関する知見も活用し、生物多様性に関する価値を付加したJCMクレジットの創出を目指します。

AWD導入水田におけるメタン濃度測定の様子(インドネシア)
HKTIにおける私たちの基本的な考え方は、常にシンプルです。農家の暮らしをより豊かにし、国内の食料安全保障を守り、そして子や孫の世代まで、私たちの土地を肥沃な状態に保つにはどうすればよいか、ということです。
HKTIはSAWA EcoSolutionsと連携し、50万ヘクタールの農地で環境に配慮した稲作手法を導入します。水田でのこうした技術的な取り組みは大きな効果をもたらします。水を節約するだけでなく、年間最大300万トンの炭素排出量削減を目指します。
これは、単に書面に署名するだけの話ではありません。HKTIのメンバーは、農業普及員とともに直接現場に赴き、農家に寄り添いながら支援していきます。こうした取り組みのメリットが、農家の収入や収穫量に実際に結びつくことを目指しています。
大阪ガスは、本プロジェクトを通じてAWDの普及に貢献するとともに、本技術を活用した新たな環境価値の創出に取り組みます。今後も国内外のカーボンクレジット事業において本技術の活用を拡大し、脱炭素と生物多様性保全の両立に貢献していきます。
Offset8社は、インドネシアにおけるAWDの推進を通じ、大阪ガスおよびSAWAとの連携のもと、日本のコンプライアンス・カーボン市場におけるプレゼンスを高めることを目指します。また、今後も高品質なカーボンクレジットの国際的なポートフォリオを拡大し、地域社会と環境の双方に貢献してまいります。
※1:水や土壌、大気などの環境中に放出されたDNAの総称
※2:日本とパートナー国が協力して温室効果ガスの削減に取り組み、その成果を両国で分け合う制度です。日本政府は25年2月、JCMを活用した温室効果ガスの排出削減・吸収量を2030年度までに累計1億
t-CO2程度、2040年度までに累計2億t-CO2程度確保する目標を閣議決定し、NDC(温室効果ガス削
減目標)の達成手段としても活用する予定
※3:農林水産省「間断かんがい技術(AWD)による水田メタン削減について」(2025年6月)参照
※4:フィリピン及び日本国内で進める複数のメタン排出量削減プロジェクトで、本技術を導入。
詳細は以下URL参照
https://www.osakagas.co.jp/company/press/pr2025/1790110_58387.html
https://www.osakagas.co.jp/company/press/pr2025/1796693_58387.html